当院のインプラント治療について

　謹んで新春をお祝い申し上げます。旧年中は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。本年もさらに一層技術の向上に努め、皆様に安心の医療をご提供できるよう業務に励みたいと思います。
またこころ歯クリニックは１月８日で開院10年目を迎えます。引き続き、ご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

　私の歯学部学生時代は６年間、休暇中はアルバイトでほとんど休みがありませんでした。体力的にしんどいこともありましたが、お金を稼ぐこと以上に働くことに生きがいを感じていのだと思います。学生は学業が本分ですが、それだけでは何か物足りなさがあり、社会で役に立つ実感を得たかったのではなかったのかなと感じます。
様々な職場を経験しましたが、職場の方々から、労いや感謝の言葉をたくさん頂いたところは、結果長く勤めていました。誰かに必要とされることはやりがいや成長につながり、また周囲にプラスの感化力となって好循環になっていきます。
開院１０年目を迎えるにあたって、皆様や当院スタッフには感謝しかありませんが、さらによりよい職場となり、誰もが安心して受診して頂ける歯科医院を目指したいと思います。

　私は大学卒業時に日本の大学で初めて開設された口腔インプラント科で、研修医、大学院、助手、講師とキャリアを積んで参りました。退職時には、将来教授を目指さないかと慰留して頂きましたが、大学組織に居続ける気にはなれませんでした。しかし退職後最年少で口腔インプラント学会指導医を取得できたのは、恩師の力添えがなければ決して叶わないことでした。
またこの分野は歯科医療の中でも特に変化が著しく、他医院でインプラント経過が思わしくなく当院に来院される方の中には、科学的根拠がなかったり自己流での治療も多く見受けられ、非常に残念に感じています。口腔インプラント治療は正しく処置を行えば、非常に成功率が高く、しっかり噛める治療ではありますが、歯科医師の知識、技術の差が結果に反映されやすい方法です。私も今まで多くの経過不良を経験しましたが、二度と同じ失敗を繰り返さない反省と、失敗しないための準備に取り組んでいます。現在はCT画像に口腔内デジタルスキャンデータを加え、できるだけ効果的かつ安全な術前計画を立案し、そのシュミレーション通りにインプラント体が埋入できるように、手術用ガイドを製作して手術に臨んでいます。また術後はインプラント体の固定状態を計測し、根拠に基づいてできるだけ早期に歯を入れて噛めるようにしています。最近では埋入手術当日に歯が入る方も少なくありません。今まで組織造成にも多く取り組んできましたが、骨や粘膜をつくる手術は侵襲も大きく、治療が長期になり金額も余分にかかるため、現在はできるだけ単純で侵襲の少ない方法にシフトしています。
私自身もインプラント治療をしてもらいましたが、できれば骨の移植などなく、痛み腫れもなく、早く噛めるようになりたいのは当然だと思います。

　毎年1月は口腔インプラント学会指導医、専門医試験の試験委員の仕事を請負います。安全性や倫理観についても厳しい試験です。インプラント治療をご検討の方はぜひ口腔インプラント学会ホームページをご参照下さい。

https://www.shika-implant.org/