高齢者に噛める喜びを

当医院ではご高齢者の摂食嚥下機能の維持、回復をはかることをミッションの一つにしています。

以前より長島病院歯科では入院患者さまや特別養護老人ホーム入所者さまの口腔衛生管理や歯科治療、機能訓練に取り組んでおり、こころ歯クリニックでも診療の空き時間に訪問診療に行っています。何らかのご病気の方や介護が必要な方は、ご自分でハミガキをするのが難しい場合が多く、虫歯や歯周病の痛みのため、あるいは歯がないことでしっかりお食事ができない方も少なくありません。またお口の中が不潔になることで誤嚥性肺炎をはじめ心疾患や糖尿病を悪化させる原因の一つとなることも分かっています。しっかり噛むことができなければ、お食事を細かくしたり、ミキサーにかけてドロドロにすることで経口摂取を維持することになります。しかし噛まないということは身体にとって多くの悪影響をもたらします。さらに嚥下機能も低下して飲み込めなくなれば、鼻から胃にチューブを通したり、胃に穴をあけ、栄養摂取をすることになり生活の質はさらに大きく下がってしまいます。

このような状態であってもしっかり噛めるように歯科治療をすること、リハビリをすることで再度食べれるようになれれば、人間らしい生活を取り戻すことができます。報道２００１で取り上げられた河原英雄先生は、しっかり噛める入れ歯を入れることで人間らしい生活を取り戻すことができることを数多く実証しています。数年間寝たきりのご高齢者が元気に歩き出す、認知症の方が歌詞を覚えて歌い出すなど、目がうつろでまともに歩けない方がしっかりとした眼差しで食事をし歩けるように改善する多くの実例は何度みても感動します。私も河原先生に憧れ直接ご指導を頂き、スタッフも講演をきき勉強しました。今後継続してコースに参加し「命の医療、生活の医療」を実践していきたく思います。

入れ歯を使っていないご高齢者には認知症が多いという報告があります。もし寝たきりになりたくなければお口の中を清潔にし、しっかり噛んで下さい。1日３回の食事は１年で１０９５回のリハビリです。健康であればそれだけで幸福な老後を向かえることができます。
詳しく知りたい方は外国記者クラブで講演する河原先生の動画をYouTubeで視聴可能です。