金銀パラジウム合金について

ここ数年国際金価格がどんどん値上がりしています。それに伴って歯科保険診療で使用している金属（金銀パラジウム合金）も今までにない程高騰しています。そのため保険点数も高くなっており、３割負担の方でかぶせ１本の値段が4200円くらい、以前の1.7倍ほどになっています。その他にも４月からの保険改定で初再診料や管理費等の見直しがなされており、全般的に加点されています。
保険診療はどこの歯科医院に行っても同じ点数ですが、施設基準により初再診料や管理費は違います。院内感染防止対策や医療安全のために院内研修を行ったり、安全のために必要な設備をきちんと揃える等の基準を満たすことで、より高い点数となるようになっています。また歯科用顕微鏡を使用した根の治療や、レーザーを使用した虫歯の治療などでも点数が加算されることもあります。しかし高い点数を算定できるからといっても、顕微鏡やレーザーなどはそれで採算が合うようなものではありません。より高度な治療を施すために導入しているのはもちろんです。また施設基準を満たすために院内感染防止対策をする訳ではなく、皆様の安全のために取り組むのは当たり前のことだと思っています。
こころ歯クリニックでは明細書を発行していますので、お支払いに関して疑問に思うことがあれば遠慮なくご質問ください。

こころ歯クリニックでは歯の詰め物やかぶせものにできるだけ金属を使用しないようにしています。以前歯の土台にはやむなく銀合金を使用することもありましたが、グラスファイバーが保険導入されてからは全てこちらを使用しています。またここ最近保険導入されたCAD/CAMで製作するかぶせものも可能な限り使用しています。

歯科治療に使用する金属については永い歴史がありますが、お口の中の環境で金属は必ずイオン化することで体内に溶け出していきます。またそれにより経年的に劣化をします（チタンは不動化することで非常に安定ですが、酸性環境で高濃度フッ素が存在すると腐食します）。金属と歯の接着は非常に難しく、外れないようにするために歯にひっかけるようにするため削る量が増えてしまいます。接着しにくいということは、隙間ができやすく虫歯になるリスクが高くなります。

私自身はこのような金属を自分の歯の治療には使用したくありません。できるだけ金属を使用しない治療をご提案していますが、保険治療ではどうしても金属を使用せざるを得ない場合も多くあります。もちろん保険の縛りがなければ全く使用する必要性はない訳ですから、しっかり利点・欠点を理解して大切なご自身の治療は自分で決めて頂きたいと思っています(^^)